プライベートファンド(個人による投資)にかかわるお仕事

弁護士資格をとって、監査法人にいた会計士時代よりも、関わる規模が小規模になったけれど全体を見れて面白いと感じる仕事に、M&Aと並んでプライベート・ファンド(個人による投資)の支援の仕事があります。

小さなファンドというのも世の中にはたくさんある

会計士時代に関わる「ファンド」というと、小さくとも数十億、大きければ数千億〜だったのですが、今は数千万くらいの個人がやっている小さな投資案件にも関わるようになっています。

このくらいの投資規模になると、出資者も個人や中小企業で、他社の事業や投資スキームについての経験も多いわけでもないので、どのように投資先の経営者や事業をモニタリングしたりコントロールしたらいいか、また、それ以前にどのような出資契約をしたらいいのか、その辺りの相談が多いです。

最首
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この規模の場合、投資先になる会社や事業者も中小事業者が多いので、投資する側でしっかり枠組みを作っておかないと、どこまでもいい加減なことになりやすく、投資資金の回収トラブルも起こりがちだったりします。

不動産への投資のような形だったら、業界的にある程度仕組みも確立していて仲介業者もいるので、モニタリングですべきことも定型的だし、報告もちゃんと上がってくるので良いのですが、事業投資なんかになるとこの辺はゼロから組み上げないといけないんですよね。

銀行のようにはいかないけれど・・・

投資のスキームのデザインの際に参考になるのは、中小企業に融資をしている銀行の考え方ですね。彼らは元々デフォルトリスクに敏感なので、事業が立ち行かなくなった場合に備えて、経営者による個人保証や不動産担保をとっています。

プライベートファンドによる事業投資の場合は、銀行融資以上のリスクをとって投資をするのですから、しっかりと投資先事業についての情報を開示してもらわないと困りますし、事業が想定外の低空飛行になった場合には、軌道修正に関して意見を言えるような状態にしておかなければなりません。

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ここが結構難しくて、あまりガチガチにコントロールしてしまうと事業者側が動きにくくなってしまって、それで経営の意欲を削いでもしかたないところなので、一定の条件で議決権が発動する株式をもらうとか、会社のオーナーシップ(株式)の一定割合を担保に入れてもらうとか、会社法の仕組みを駆使していろいろな形をデザインしています。

また、仕組みだけでは対応できないところについては、投資した後の投資実態のリアルタイム監査というか、業績数値に対するデューデリジェンスみたいなことをして、投資家側のモニタリングの支援のようなことをやっています。投資家自身でこのようなことができる人はいいのですが、そういったスキルがない中で、事業の見通しが修正(特に下方に)されたりしてくると、個人で経験がそこまでない投資家の方は、不安になったり疑心暗鬼になってしまったりしがちなんですよね。

「バクチ」的な世界だけれども・・・弁護士/会計士も役に立てる

とはいえ、この分野をやっていて面白いなと思うのは、やはり銀行融資ではなくて、直接の投資でやろうとする事業っていうのは、上品に言えば「ボラティリティが高い」というか、俗っぽい言い方をすると「バクチっぽいところがある」ということです。

中小企業なので経営計画もそこまで緻密じゃなくて、銀行融資じゃなくて個人投資家からお金を引っ張るような投資なわけですから、ちょっと怪しい、詐欺めいた投資話もとぉーっても多いのです。

実際、ちょっとお金を持っている人の周りって、いつもそういううさんくさい話が飛び交ってるのですよね(笑)そして投資する側も妙な度胸があるというか、思い切ったリスクを取る人も少なくないのです。

なので、それがしっかりした実体と実現性のある事業なのかを見極めて、投資の安全性を判断する、もちろんそれは「(リスクを取る)投資」なのですから、最後に決めるのは投資家その人なわけですが、「明らかにこれはおかしいだろう」というのを事前に弾くのは、アドバイザーである弁護士や会計士の仕事であるというわけです。

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この辺は、事件性のある詐欺取引を仕事柄も見てきている弁護士として経験と、同時にうまくいっている投資案件を見てきている会計士としての経験の二重性が役立つところなんですよね。おそらくは弁護士としての経験だけだと、リスク回避が先に立ってディフェンシブになりすぎてしまうし、会計士だけの経験だと、詐欺的なところへの嗅覚が十分働かないというところで。

とはいえ、正直、最後は「リスクジャッジ(賭け的な要素のある判断)」なのだなと現場感覚としては思います。投資先の事業がどうなるかは、取引先や事業環境の関係もあって正確には読めないので、その不確実性の中で、この経営者だったら任せられるなという「経営者への信頼」の部分もかなり大きいなと思いながら見ています。実際、うまくいっているプライベート・ファンドの投資家の方は、投資先の経営者の資質にとても目を光らせていますね。(そのことを表立って見せないところも、上手だなと思いますが。。。)

時には「儲け話」を組む側の仕事も

また時には、その投資話を組む方の事業者のアドバイザーをやることもあります。私みたいな特殊な専門職のところに話が来るのは、大抵は何か節税スキームが絡んだような案件で、オフショア(海外投資)だとか、トラスト(信託)だとか、かなりテクニカルなことをやりたがっている事業者さんですね。(おかげでずいぶん国際租税スキームに詳しくなりました。)

ただ香港やシンガポール、ケイマン諸島あたりなら、まだある程度現地の制度の見通しがつくのですが、仮想通貨関係だとメキシコ(ベリーズ)やモンゴルあたりも事業者の所在地として(もちろんペーパーカンパニーだと思いますが)出てきまして、よくわからないなぁということもよくあります。というか時には地球儀を見ないとどこなのかわからない地名も出てきますし・・・・そんな場所にある事業に対して、よく投資するなぁと感心してしまいます。

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まぁ、日本に対する投資も、ヨーロッパから見れば一昔前(大戦前)はそんな感じだったのかもしれませんが・・・投資家っていうのはホント万国たくましいのですよねぇ。。。

国際案件も扱いますが・・・正直よくわからない国もあります

ということで、最後はちょっと話が大きくなってしまいましたが、大抵は国内のプライベートな投資(出資や融資)の契約のアレンジや、投資後のモニタリングに関わっていますので、何かそういう話があって、アドバイザーが必要だったらぜひお声がけくださいませ。(弁護士がいるとある程度詐欺みたいなのには、引っ掛からなくて済むと思います。)

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ちなみに国際案件もたまにやるんですけど、流石に英語圏以外はちょっと厳しいなぁということで、アメリカかヨーロッパの固ーい案件だけですね。中東とか中南米、アフリカの案件はもう全然わかりません。

とはいえ、その辺が得意な友人(↓)もいるので、いざという時はそういう先に任せることにしています。ちなみに彼(笠井さん)、昔一緒に働いてた時はいかにもエリート(慶應義塾大学のMBA課程生)だったんですけど、アフリカに行ってだいぶワイルドになりました。テレ東の「世界ナゼそこに?日本人〜知られざる波瀾万丈伝〜」にも出ていたし(笑)

ということで、最後はだいぶ脱線しましたが、プライベートファンド投資にまつわる仕事のお話でしたー。

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